素人のセフレ

素人童貞を卒業したい
「5000円くらいかな?」
出会い系で出会ったナツちゃんからそう切り出された。いや、安過ぎない?
俺みたいな非モテ素人童貞とこうして会ってくれてやらせてくれるんだから、まあお金目当てなんだろうなと思って、股間と一緒に財布も膨らませてきたのだが、イマドキ5000円程度では口ワリさえ受け付けてくれない世の中である。安すぎて逆に怪しく思えてくる。
ナツちゃんは「お酒大好き。飲みに連れて行ってくれる方~」と言う食事援みたいな募集だったが、僕も酒は好きだし、たまには誰かと飲む、それも女の子だったら最高だよなと応募をしてみたところ、見事当選した次第だ。
正直な話、セックスまでは期待していなかった。そして、前髪ありの清楚なセミロングで、かまぼこのような半月型の目元がちょっと幼く見えるナツちゃんと待ち合わせ場所で会った時は、思った以上のかわいさであり、素人のセフレを望むのは理想が高すぎる、一緒にお酒飲めるだけでも幸せだと思わないと、と行きつけの飲み屋に彼女を案内したところだった。
「天ぷらとだし巻が美味しい店にハズレはないよねー」
と、ナツちゃんは幼い容姿に似合わずお酒をクイクイ飲んでいた。そのピッチは僕より早いくらいで、常に料理とお酒を口に運んでいて、たまに出てくる会話もお酒や料理に関すること。僕もお酒や料理の感想戦は好きだし、会話は全く途切れなかった。そして、ナツちゃんのお酒の強さを褒めると
「好きだしね。で、この後はどうする?」
と、ナツちゃんの方から聞いてきた。ナツちゃんと飲むお酒が美味しくてすっかり忘れていたが、この後、セックスをして素人のセフレをゲットできるかは今にかかっているのだ。素人のセフレにするにはナツちゃんは申し分がなかった。
でもやっぱり、お金を取るんだろうな、と思って「いくらくらい?」と聞いてみると、5000円と来たのだ。
何か裏があるのかも知れないが、5000円でナツちゃんとセックスできるなら申し分ない。僕がゆっくりと頷くと、ナツちゃんは財布を取りだした。
「私、結構飲んじゃったけど、これで足りる?」
この居酒屋の支払いのことだったのか、と発想を飛躍しすぎて思わず笑ってしまった僕を、ナツちゃんはきょとんと見ていた。
そんなナツちゃんが素人のセフレになってくれたのは、それから半年後のことです。
割り切った関係
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